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退職妨害と徹底的に戦いますーブラック士業の跋扈は許さない!

最近労働事件で被告事件を受けることが増えています。と言っても、企業側と言うわけではなく、退職をきっかけに研修費用とか損害賠償等を求めてくるものです。

労働者には退職の自由があります。

また、退職したら●費用を負担するなどの損害賠償の予定を定めると、戦前の遊郭のように借金で縛り付けるようなことになりかねないため労働基準法で禁止されています。

前から、悔し紛れに脅すような発言をする経営者はいました。違法だしそんなの受ける弁護士はほとんどいないから気にすることない、万一訴えられたらまた相談にのるからと助言すると、これまではそれっきりでした。
それが、最近は本当に訴えられたと言うことで、被告側やることが増えてきました。
犯罪者の弁護するのは弁護士の仕事かもしれんが、犯罪者と一緒になって人権侵害するのは正当な弁護士活動とは言えないだろ。

退職せざるを得なくなった場合に逸失利益の請求を認めた事案(マガジンプランニング事件京都地判平成23年7月4日労旬1752号)

パワハラ、セクハラなどで退職せざるを得なくなった事案で給料相当額の逸失利益まで認めた事案はかなり珍しいのですが(セクハラは逸失利益を認めることもありますが、それ以外はかなり稀)、参考になる事案をご紹介します。また、昨今話題になっている、在宅勤務も関連し興味深い事案です(ただし、本件は自宅を営業拠点とするものであり、一般的な在宅勤務とは事案が異なります。)。

事案

マガジンプランニング社は大手美容整形クリニックのグループ会社として、クリニックの広告宣伝の作成等を行っている会社である。同社の大阪支社は3名体制であったが、内2名が不透明な取引に関与しているという理由で退社した後、マガジンプランニング社は大阪支社を閉鎖し、残った営業担当の従業員のAさんを自宅事務所勤務とすると命令した。Aさんは新生児がおり業務に集中できる状況ではないし、顧客のいる大阪市内から1時間半以上離れたAさんの自宅から営業活動を行うのは困難であり歩合給が激減しかねないとして、マガジンプランニング社を退社し、有期雇用契約満了までの8か月分の給料を請求した。

判旨

「自宅事務所勤務命令は、原告の自宅を被告の大阪事務所として使用するものであるから、原告の私生活に対して影響を与える度合いが強いものである。(中略)自宅において業務を行うための設備(中略)を保管する場所を提供する必要が生じる。(郵便物など)私的なものと仕事に関するものとの区別が必要になり、必然的に原告の家族を巻き込むものである(中略)自宅を事務所として使用する場合には、労働者の個別の合意か、就業規則上明確な定めが必要である(がそのような合意等はない)」

「(契約書に大阪支社勤務と明記されている上、無期雇用から有期雇用に変更する一方で、A独自の顧客(全て大阪市内)に関する歩合給を増加をしたという経緯を踏まえると)大阪事務所を賃借等して確保することが本件労働契約の内容になっていた」

「単に労力や対応への具体的な困難性というにとどまらず、原告の取引先との関係に対する影響やそれによる原告の収入への影響に対する配慮が必要になる。すなわち、(中略)有期契約に変更する代わりに能率手当の支給率を40パーセントに上げることとしたところ、京都市伏見区にあるマンションの一室に事務所を移転させた場合(中略)大阪市内にある同業者と比べて相対的に事業競走上不利な立場になる一般的可能性がある(中略)これに対し、(売上利益の減少はあるが、安定的な株主配当も行っている状態であり)上記のような負担を原告に強いてまで合理化を図らなければならなかった事情が被告にあったとは認められない。」

「以上に照らすと、自宅事務所勤務命令は(中略)無効なものであるところ、被告は原告の要求を拒んで原告の就労場所である新たな大阪事務所を確保せず、原告はそのために本件労働契約を解約せざるを得なくなったのであるから、本件解約告知は、被告の故意過失によるやむを得ない事由によるものというべきである」

 

復職命令後に復帰しなかった場合に給料を請求できるか?(福井地裁平成28年1月15日判決)

会社側から復職命令を出された場合に、復職しなければ、復職命令以降は給料が発生しないという取扱いの方が一般的です。しかし、使用者側が真摯に労働者を受け入れる意思もないのに、復職命令を出し、仕事を与えなかったり、従前の職務と比較して著しく簡単な業務を与えるなど屈辱感を与え追い出す目的などで復職命令は濫用されています。この点、上記の福井地裁平成28年1月15日判決では、復職命令以降も給料の支払いが認められています。

事案は、リフォーム会社の被告が原告がノルマ未達成を理由に社員の等級を変更し、月額29万円から10万円減額し、退職するか妻子と長年暮らしている自宅から遠く離れた長野支店に行くか選べと言われたため、原告はその後出勤しなくなった。被告は原告が配転無効や残業代の支払いを求める訴訟を提起すると、配転命令を取り消し復職を命じたというものです。

福井地裁判決は、10万円も給料を減らし、長年家族と暮らした福井から長野への配転命令は、課されたノルマの達成が極めて困難な状況であったことも併せ考えると過酷に過ぎ、無効としました。

その上で、復職命令について、被告が配転命令や残業代の未払いについて違法性を一切認めていないことを指摘し、原告が福井支店に復職しても直ちに降格される恐れがあるし、復職後にノルマが未達成だとして翌月には同様の状況に至る余地も十分にある。被告が提出している誓約書では時間外賃金を適法に支払う旨の記載があるが、他方で本件訴訟において賃金請求を争っているし、営業手当の時間外賃金である旨の主張も撤回していない以上、あくまで被告が主観的に適法と考える時間外労働賃金が支払われるだけであって、客観的に適法な時間外労働賃金が支払われないおそれも十分にある。そのため、本件配転命令を発令したことにより破壊された原告との間の労働契約上の信頼関係は、配転命令を撤回し、誓約書を提出しただけでは回復したとは認められない。そのため、原告が出勤しないのは、被告の責めに帰すべき事由によるものといえるから現在まで賃金支払い義務を負うと認めるのが相当である。

今回の被告は相当ブラックな企業であることを示す事情が種々認定されており、極めて裁判所の心証が悪かったことがこのような判決につながったものと思われます。当該判決が控訴審で維持されるのかなど、慎重な取り扱いが必要とは思いますが、労働者側にとっては極めて有用な判決であることは間違いありません。

 

 

 

 

 

 

賃金減額を伴うグレード格下げの有効性(L産業事件東京地判H27.10.30)

労働弁護団の勉強会で標記の件の発表を聞きました。

事案は、管理職として勤務していた原告が別のプロジェクトの担当になり、これまで行っていたポストは同僚が引き継いだが、その後プロジェクト終了した際に管理職の空きポストがないため一般社員に降格になり、基本給が10万円以上減額となりボーナスも大幅に減らされたというものです(ただし、支給されていなかった残業代が支払われるようになったため年収ベースだと5パーセント程度の減収にとどまる)。

東京地裁は「使用者は、労働契約上の根拠を有する場合は、業務上の必要に応じて、人事権の行使としてその裁量により勤務場所や担当業務を決定することができる」とした上で
降級についても「不当な動機目的を持ってされたものであるとき若しくは原告に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるとき等、特段の事情がある場合には、人事権の濫用として無効となる」
として、原則的に降級も使用者の裁量としました。

どのような業務を行わせるかについて、社会の変化が速く必要な業務の内容がどんどん変わっていっている現状で、使用者に裁量がないとすると、円滑に業務を遂行できないのは事実です。ですから、業務の配置に使用者が一定の裁量を持たせるのはやむを得ないことだと私も思います(ただし、現状の裁判例は労働者個人の事情を極めて限定するのはやりすぎではないかとの感想を持っていますが、)。
しかし、そのような使用者側が裁量を持つ必要性は業務配置について認められれば一応目的は達成できるのであり、給料の金額についてまで裁量を認める必要性はさほど高くありません。
むしろ、給料の金額は、雇用契約の核心部分です。これまで、会社の裁量で不利益変更できるとすれば、労使間が対等の理念を否定するものです。また、労働者の生活を根底から破壊しかねません。

従って、人事異動を伴う場合でも一般的な降格と同様に降格をせざるを得ないやむを得ない事情がある場合に限定すべきです。

なお、この事件は控訴されていますが、控訴審で和解になっているようです。和解の内容については、不明ですが、記録の閲覧をする価値はあるのではないかと思います。

参考裁判例 コナミデジタルエンタテイメント事件(東京高判H23.12.27)、日本ガイダント事件(仙台地裁H14.11.14)、エーシニールセン・コーポレーション事件(H16.3.31)

ブログ再始動

ホームページ立ち上げから、1年以上このページについては放置状態となっておりましたが、
ブログの更新を再開しようと思います。

独立した当初は労災問題の比重が多かったのが、
最近は解雇や退職勧奨に関連する事件が増えてきたこともあり、
いろいろと気づきも多くなったので、
その成果を備忘録的にアップしていきたいと考えております。